俺の声
シオン。
高校生だったころ、母親が夜、和裁仕事をしながらいつもAMラジオを聞いていた。
部屋のメインの電気は消して、着物を縫うところにだけ照明を当ててね、一生懸命和裁仕事をしていた。
常にバックにはAMラジオが流れていたんだけれども、そこから流れてきたのがシオンのこの歌だった。
そんな金にならない和裁の仕事を、ただひたすら生きるために、いや、そんな大袈裟じゃなくて、そこに全く愚痴なんて微塵もなくて、当たり前の景色というかね。
その刹那が、やっぱり何か悲しかった。
そんな母親の和裁仕事のバックには、いつもAMラジオのセピア色の音が流れていた。
そこで流れていたのがシオンだった。
あまりにも母親の姿とシオンの曲が嵌りすぎてね。
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